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えかきのまどや 雑記帳

動物関係,本,映画など 趣味の雑記帳です。

『獣人雪男』ゲテモノとしての怪獣映画

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映画『獣人雪男』の公開当時の批評を
当時の新聞で見つけました。

 

読売新聞の記事ですが
酷評をされているんですね ―。

 

この記事の前半部分は
この映画のあらすじなので
途中から後半部分を引用します。

 

“雪男”なる名が一つの流行であり,
また「ゴジラ」以来のこの種の映画が
一応話題になっているから
制作されたものらしいが,
いやはやまったく話にならぬ大愚作。
こんなゲテモノが堂々と一流館で
上映されるとは驚きいったことと
いわざるを得ない。
(演出 本多猪四郎

映写されだすと,ダラダラと捜索隊の
雪山登山風景が画面をつなぎ,
四十分ほどしてようやく
おめあての“雪男”が登場。
ところがこの雪男一向に
この種のものの主人公らしい
怪奇巨大なものでもなく,
往年の活動大写真
“岩見重太郎”のヒヒ程度。
またこの映画の表看板たる
特殊技術なるものもチャチなもので,
一見オープン・セットとわかる
セメント製の雪山,
合成撮影もチカチカと動き,
ロケとオープンのつなぎも
判然とわかるお粗末。
おまけに話もつまらないと
きているから,
最後までみるのに弱りきってしまう。
せめて何か良い点でもと
終わりまでつとめて見たが,
残ながら皆無。
(錦)

 

 讀賣新聞 夕刊 2ページ
1955年8月16日(火曜日)
スクリーン
『 話にならぬ愚作  獣人雪男(東宝) 』
より引用。


いわゆる怪獣・怪物モノは
世間では
ゲテモノ・キワモノとして
認識されていて
特定の読者が見る雑誌と異なり
不特定多数の一般の読者が見る新聞で
このようなジャンルの作品を
仮にでも好評価しようものなら
マニア扱いされて
書き手のセンスが疑われかねない
といった風潮がありました。

 

こういった傾向は
今でもあると思いますが ―。


怪獣・怪物モノが好き = マニア
と直結して考える方は
ステレオタイプもしくは
偏見をもった
見識の浅い方々でしょう ―。

 

昔の新聞記事は
書き手の主観がかなり入っていて
書き方も
雑誌記事のようでしたし
「何と」,「いやはや」などといった
感嘆詞や感動詞
「一応話題になる」の
「一応」といった主観的で余計な副詞
などが普通に使われていました。

 

このような
一般紙の新聞に掲載する記事内容や
時代を感じさせる書き方
それから
批評者たちの傾向を差し引いても
この記事は
この執筆者である「錦 記者」の
個人的な好みでだけで
書かれていますよね。

 

まあ,憶測ですけど
本当は事件や政治記者を目指して
新聞社に入社したものの
こんなキワモノ映画の記事なんか
書いてられるか。
といった感じの
一線から脱落した記者の
やっつけ記事に思えるんですがね ―。

 

でも確かに
公開前の宣伝では
獣人雪男がゴジラと対峙している
ショットもありましたので

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1966年7月10日に放送された
ウルトラマン前夜祭」の
さわりだけを見た人が

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Birth of Ultraman episode 00 July 10 1966 Japanese no subs

 

翌週の本放送を見て
ウルトラマンは等身大ではなく
40mのもある巨大な設定だったんだ。
と思ったように
その逆で
ゴジラ程度の巨大獣と思ったのかも
知れません。

 

他の部分の批評についても

ダラダラと捜索隊の雪山登山風景が
画面をつなぎ,四十分ほどして
ようやくおめあての“雪男”が登場。

といった,くだりの部分。
いかにも新聞記者らしいといった
感想ですよね。

 

新聞記事の構成は,ざっくり言って
見出し → リード → 本文 の
構造になっていて
主要な部分から書かれているので
記者はそういった構造で書くように
教育を受けていると思いますから
最初からメインの部分がわからないと
この錦記者は
納得がいかないんでしょう ―。

 

最後にいよいよ主役が登場して
「待ってました!」という
ウルトラマン」などの
“ ヒーローモノ " に見られる
物語の展開が
耐えられないんでしょうね 。

 

ほかにも色々とケチをつけていますが
最初から見る気もなかった。
といった感じがにじみ出ています。

 

でも
この時代の新聞記事を探して
読んでいると
よくこれで
大手の新聞社の記者が務まったよな。
と思うような記事が散見され
執筆者の主観が目立つものや
ゆるい文体のものが多いけど
逆に
自由でギシギシとしたものがなく
時代を感じさせて
何かいいですよね・・・。

新聞で今こんな記事を書いたら
おそらく
相当なクレームがきそうですよね。

 

それからクレームといえば
この『獣人雪男』の映画自体が
DVD化していないのは
不適切と思われる描写があって
本作品を表に出すことによって
一部の個人や団体が
確実に色々とクレームをつけてくる。
そのため販売関係者は
その対応に追われることが
目に見えているし
色々と話題になって火が付いた挙句
結局は自主回収といった
大きなリスクもありますよね。

 

それとマーケットを見た上で
売上見込みとのバランスを考えれば
封印したままにしようといった
結論になると思います。

 

僕も経験がありますが
以前に
子供を対象とした質問箱で
実際の子供からの質問を
マンガにして
キャラクターの
物知りのおじいさんが
子供の質問に答えるといった
企画があって
それをやったときに
そのおじいさんが
子供と対面して答えている
挿絵を描いたんです。

 

そうしたら
思いもよらぬクレームがありまして。
僕の頭の中では
竹村健一 氏のような感じで
知的な人を表す記号として
パイプを片手に持って
子供に説明する絵を描いたら・・・。

 

『 子供の前で煙草を吸うのは
受動喫煙の悪影響があるので
教育上パイプを咥えて
子供の話す絵は不適切だ 』として
削除を求められた経験があります。

 

僕はタバコを吸いませんが
タバコバッシングも
ここまできたのかと
その異常性を思いつつ

 

結局はその対応に追われて
すぐに後から
色々な方々も介入してきたので
引っ込めたほうが無難だと思って
削除しました。

 

こういった
小さな規模のケースでも面倒なのに
これが
表現方法に問題があるといわれる
封印作品 ” と言われた
映画のDVD化なんていったら
規模が違いますから
アンダーグランドな方をはじめ
多くの方々が介入してくるのは
確実だと思うので
そんなリスキーなことは
しないと思いますね ―。

 

シギシとしてなかった
公開当時の頃は世間が寛大だったし
自由な時代でよかった気がします!

 

でも個人的には
ウルトラセブン 12話の
『遊星より愛をこめて』や
怪奇大作戦 24話の
『狂鬼人間』
それから
ノストラダムスの大予言
といった作品などは
アンダーグランドではなく
表に出して
日に当てて欲しい作品
だと思っています。

 

~ 参考資料 ~

◇ 1955年8月16日(火曜日)讀賣新聞 夕刊 2頁

スクリーン『 話にならぬ愚作 獣人雪男(東宝) 』

 

東宝特撮映画全史

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放送禁止映像大全 (文春文庫)

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以上
読んでいただき
ありがとうございました。