1970年代のアメリカTV事情
気持ちが落ち込んでいるときに聴くと
勇気づけられる音楽って
人それぞれにありますよね。
僕のフェイバリット・ソングは
「Making Our Dreams Come True」
という曲で
Cyndi Grecco(シンディ・グレコ)
という女性シンガーが歌っています。
Cyndi Grecco - Making Our Dreams Come True
アメリカのシングルの人気チャート
1976年の「ビルボードホット100」では
25位にまでンラクされましたが
日本ではイマイチで
かなりマイナーな曲です。
その後に知ったのですが
この曲のシングルレコードが
日本でも東芝EMIから出ていたようで
「 夢は駆け足でやってくる 」という
邦題が付けられていました。
シンディ・グレコ - 夢は駆け足でやってくる
この曲は何といっても
テンポが良くって
気持ちが晴れて
明るくなってくるんです!
歌詞も中学生程度の英語力でも
なんとなくわかるような
わかりやすい詞で
チャンスをものにするの
ルールに縛られずにね!
わたしたちのやり方で進んで行って
夢を実現するのよ。
“ 不可能 ” なんて言葉は
聞いたことない。
チャレンジしつづけて
夢を叶えて見せるわよ!
わたしとあなたの夢をね ・・・。
ざっくり言えば
こういった内容の詞で
すごくポジティブで
何かやる気が湧いてくる
感じになるんですよ。
この
「Making Our Dreams Come True」
という曲は
アメリカのTVコメディ
「 Laverne & Shirley 」
( ラバーン & シャーリー )の
オープニングの主題歌で
アメリカでは
1976 ~ 1983年に放送された
人気の sitcom(シトコム)です。
sitcom(シトコム)とは
主人公などの一定した配役が
日常生活場面で繰り広げる
連続ホームコメディーです。
「奥様は魔女」や
「じゃじゃ馬億万長者」のように
観客席からの笑い声が聞こえてくる
コメディをイメージすれば
わかりやすいかもしれません。
ラフ・トラック(laugh track)
と呼ばれる“ 笑い声 ”は
観客に笑いのポイントを
理解しやすくさせるため
入れられているといった
ねらいもありますが
常に入っているというものではなく
ラフ・トラックのない
あります。
「ラバーン & シャーリー」は
日本でも関東では1980年9月から
当時の「東京12チャンネル」で
深夜帯(火曜日:23:10~23:40)
に放送されていました。
Laverne & Shirley - Penny Marshall & Cindy Williams
このTVコメディは
主人公の親友でルームメイトの
ラバーン・デ・ファジオ
(演:ペニー・マーシャル)
(吹替:加藤みどり)と
シャーリー・フィーニー
(演:シンディ・ウィリアムズ)
(吹替:太田淑子)が
1975年に「Happy Days」の
エピソードで
ビール工場の労働者として
出演した後にスピンオフした番組です。
「ハッピー・デイズ」は
アメリカで
1974 ~ 1984年に放送された
人気TVコメディです。
日本でも1978年1月から
「東京12チャンネル」で
放送されましたが
人気は上がりませんでした。
Pratt & McClain
(プラット & マクレーン)の歌う
「ハッピー・デイズ」のテーマ曲は
1976年の「ビルボードホット100」で
5位に入りました。
ハッピーデイズ - プラット&マクレーン
この曲も詞が単純で
明るくポップなんですよ!
だから聴くと
タイトル通り
ハッピーで元気になってくる
曲ですね。
「Happy Days」と
「Making Our Dreams Come True」の
詞の単純さと
ポジティブで明るく
ポップなノリのメロディーには
共通するものがあると思ったら
Norman Gimbel(詞)と
Charles Fox(曲)という
同じ人たちが創ってたんですね。
このコンビで創ったTVテーマは
他に「ワンダー・ウーマン」などが
あります。
アメリカのTVについて
これらが放送された1970年の
時代背景を述べますと
70年代に入り
アメリカでは離婚率が高まり
女性が社会進出してきたことで
自立した女性が増えました。
TVもその現象に影響されて
アクティブで強い女性が活躍する
ドラマが人気を呼びました。
例えば
リンゼイ・ワグナー
リンダ・カーター
「ワンダー・ウーマン」
「女刑事ペパー」
キム・ベーシンガー
「女刑事JJ・ケーン」
そして
シェリル・ラッド など が活躍した
といったTVが制作されました。
一方
男性はというと
決して弱くなったわけではありません。
刑事・探偵モノでいうならば
「刑事コロンボ」
「刑事コジャック」
リチャード・ラウンドトリー
「黒いジャガー」
ポール・マイケル・グレーザー,
デビッド・ソール
「刑事スタスキー&ハッチ」
などといった
自由で個性が強い
はみ出し刑事・探偵モノが
目立った時代でした。
しかし外国テレビが
日本で放映される数は
70年代に入ってからは
徐々に減少していき
60年代には
ゴールデンタイムに放送されていた
外国TVも
深夜枠へと追いやられていきました。
こういった現象から
ホームドラマやコメディといった
家族で見るようなものは
あまり人気が出ず
大人の時間帯に放送された
大人のドラマが
受けたのではないでしょうか。
「ラバーン & シャーリー」
については
アメリカでは大ヒットコメディなので
もちろんDVD化されていますが
日本では残念ながら
DVD化はされていません・・・。
というか,すごくマイナーだし
残念だけど
今後もないんじゃないかな ―。
ただ
海外ドラマ専門チャンネルの
「スーパー!ドラマTV」で
放送された記録があるので
◇ ラバーン&シャーリー
( LAVERNE & SHIRLEY )
- スーパー!ドラマTV
そちらに加入して
再放送を待ったほうが
いいかもしれないですね。
この当時の
外国のホームドラマやコメディも
面白くなかったというわけではなく
ただ
日本の面白いTV番組が量産され
それらと競合したために
視聴率が伸びなかったという
理由もあるでしょう。
しかし現在では
ビデオの普及や多チャンネル化で
TV番組の選択の幅が増えたので
「ラバーン & シャーリー」も
そうですが
今見ると面白い番組って
結構多いですよね。
それと
この当時の
シンディ・ウィリアムズ と
アクティブでいい~ですね。
2人のキャラクターと
主題曲の
「Making Our Dreams Come True」が
ぴったりとマッチしてる !
コメディのできる女優って
頭の回転が速くって
間の取り方がうまい!
特別美人っていうわけじゃないんだけど
鼻につかない才覚と可愛さがあって
見てると元気が出てくるんですよね。
ところで
「ラバーン & シャーリー」の
TVの冒頭で2人が手をつないで
玄関から出て来る際に暗唱している
1,2,3,4,5,6,7,8 !
Schlemiel ! (シェミル)
Schlemazel ! (シェマーゼル)
Hasenpfeffer Incorporated !
(ハーゼンフェファー
インコーポレイテッド)
この言葉は
石蹴りの歌 らしいのですが
この歌を
そのまま翻訳ソフトにかけると
わけのわからない
日本語訳が出てきます。
たぶん
日本でいうと
「ずいずいずっころばし」や
「かごめかごめ」のような
感じの歌なのかな !?
と,思います。
どこで言っていたのか
忘れましたが
映画の字幕翻訳で有名な
岡枝慎二 氏が
翻訳をする際には
語学だけでなく
聖書をはじめとする宗教の知識や
マザー・グースなどの童謡,
民族の慣習といった
あらゆる知識も
勉強しておく必要があると
言っていた記憶があります。
確かに観る側としても
マザー・グースや聖書を知らなくても
映画鑑賞にそれほど問題とは
ならないと思いますが
引用元を知っていると
より楽しく観ることができます。
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というわけで
アメリカのTVコメディ
「ラバーン & シャーリー」の
主題曲で
シンディ・グレコ が歌う
「Making Our Dreams Come True」と
その周辺のアメリカテレビ事情について
書きました。
機会があったら
「ラバーン & シャーリー」
是非見てください。
~ 参考文献 ~
Television's Greatest Hits, Vol.3: From the 70's and 80's
- アーティスト: Fred Steiner,Garry Schyman,Lou Scheimer,Norm Prescott,Ray Ellis,Velton Ray Bunch
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以上
読んでいただき
ありがとうございました。