★ のまどや 雑記帖 ★

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ブラックホール第3惑星と猿の惑星

メカゴジラ2部作考 2

先日

映画『 メカゴジラの逆襲のDVDを

見返していたとき

以前に書いた記事を思い出しました。

 

過去の記事

『 ゴジラとメガゴジラの “ 陽と陰 ”』

『 チタノザウルスの体色が赤い意味 』

において


ブラックホール第3惑星人 』とは

何者なのか?

 

そのネーミングから

暗喩的意味を考察すると

ゴジラ対メガゴジラ

メカゴジラの逆襲

連続する2作には

アメリカ礼賛 ” という

プロパガンダ を含んでいることを

述べました。

 

その他に

着目すべきところは

彼らの正体

1作目2作目

容姿が異なるということです。

 

ここから アメリカ礼賛 ” を

導き出すことは難しく

 

ブラックホール第3惑星人 』には

暗喩としての別の意味も

隠されているのではないかと

考えられます。

 

まず

1作目での正体は

” 猿人” のような容姿です。

 

『ゴジラ対メカゴジラ』1974年 東宝 - Amazon Prime Video

 

これは

1作目で第3惑星人を演じた

草野大悟 氏の印象から

そうなったらしく

 

それから

これは憶測ですが

スペクトルマン宇宙猿人ゴリ)で

宇宙猿人ゴリを演じた

遠矢孝信 氏も

第3惑星人を演じていますが

これも猿人つながりで

何らかの関係が

あったんでしょうかね… ??

 

それはさておき 

その一方で

2作目での彼らの素顔

ケロイド状に焼けただれた顔

“ ミュータント人間 ” のように

変わっています。

 

『メカゴジラの逆襲』1975年 東宝 - Amazon Prime Video

 

1作目猿人の顔

そして

続編としての2作目

ケロイド状の皮膚をした人間の顔

 

とくれば

モチーフになっているのは

言わずと知れた

映画『 猿の惑星『 続・猿の惑星

ということになるでしょう。

 

メカゴジラの逆襲の劇中において

ブラックホール第3惑星人

ムガール隊長

先に地球に乗り込んでいた

部下の 津田

「我々は東京をつくり変える」として

発展する東京の都市を

高層ビルの一室から見下ろしながら

会話をするシーンがあります。

 

ここでの台詞で

「 この都会こそ地球人の頭脳そのもの。

  汚濁と混乱。

     秩序は

     常に後から追いかけるものにすぎない。

     結局のところ

     地球人は自分たちが

     何をつくっているのかさえ

     わからないのです。」


引用元:映画『メカゴジラの逆襲』1975年 東宝

とあり 

この台詞を含めた一連のシーンを見ると

おそらく

ブラックホール第3惑星人 ” 

人類のはるか先を歩んでいて

高度な文明社会をもっているようです。

 

その一方で

「 我々の肉体を取り戻すことのできる

    街をつくる。」

「 我々の故郷

    ブラックホール第3惑星の

    最期が近づいている。」


引用元:映画『メカゴジラの逆襲』1975年 東宝

といった台詞から

自分たちの種族の肉体が

蝕まれていることと

棲む星が末期であることを

知ることができます。

 

つまり

今の地球人による経済社会が

このまま発展して行けば

いずれは破綻し

ブラックホール第3惑星人  と

同じ轍を踏むことを

彼らは見越しているようです。

 

政治的な言い方をするならば

暴走しかねない

自由放任な市場経済を排斥して

我々エリートが支配・統制する

国家に変えて

新しい未来社会をつくる。

ということでしょう。

 

では

モチーフになっていると考えられる

映画「 猿の惑星「 続・猿の惑星

連続したストーリーを

ゴジラ対メカゴジラ 2部作 」

合わせてみましょう。

 

自滅してしまった現代の人間に代わり

地球を支配したのは

高度な文明をもった猿人だった。

しかし

一部の人間は

ミュータント化して生き延び

彼らもまた秘密裡に

高度な文明を築いていた。

 

こう考えると

ブラックホール第3惑星 では

2種類支配者的種族

存在していて

現代の地球に攻めてきたのは

各々の異なる種族である。

 

また

“ 猿人 ” の種族

屈強な肉体を持っている。

一方

“ ミュータント人間 ” の種族

肉体は蝕まれているが

知能は “ 猿人 ” の種族 よりも

優れている。

 

こういったことから

1作目ゴジラ対メカゴジラでの

ブラックホール第3惑星人は

肉弾戦の格闘シーンが多く

かつ

粗暴な印象を受けます。

さらに

“ 猿人 ” の種族

自らの肉体が蝕まれているという

ひっ迫感も

自らの星についての

危機感もなく

単純に優位的地位からの

支配・統制目的として

侵略行為をしていると

考えられます。

 

これに対して

“ ミュータント人間 ” の種族

自らの肉体や星について

危機感を持ち 

種族が生きながらえる術としての

侵略行為でしょう。

 

また

戦略的な印象については

1作目より2作目のほうが

より狡猾で知略的な印象を受けます。

 

我々エリートが未来図を描き

新しい統制国家をつくるという

高尚な計画をもった侵略者の

設定であるならば

「 2作目 」 “ 猿 ” ではなく

より高度な頭脳をもった

“ ミュータント人間 ” が登場した

という理由も頷けます。

 

こうして

映画『 猿の惑星を踏まえて考察すると

もう一つの 暗喩的意味

ブラックホール第3惑星 ” とは

未来の地球 であり

ブラックホール第3惑星人 ” とは

未来の地球人の姿 であることが

導けます。

 

そしてそれは

文明や科学の発展暗部 を意味した

暗喩的表現であると考えれば

合点がいきます。

 

つまりここでも

ゴジラ対メカゴジラ 2部作 」での

手法である “ 陽と陰 ”  の表現が

使われています。

 

物語を創作するに当たり

主人公に対する強力な敵として

主人公の分身を出す手法は 

ヒーローものの常道です。

 

ゴジラ対メカゴジラ 2部作 」も 

その手法が使われています。

 

ゴジラ に対しての メカゴジラ

そして

現代の地球人分身 ともいえる

未来の地球人 としての

ブラックホール第3惑星人

 

さらに

メカゴジラの逆襲で興味深いのは

 

ゴジラ

本作での ブラックホール第3惑星人

 

両者の共通点は

同じような

ケロイド状に焼けただれたような

体表面をもった姿をしている

ということです。

 

彼らの関係も

文明や科学の発展の

代償を受けた者同士であり

“ 分身 ”

言えるのではないでしょうか。

 

プロデューサーの 田中友幸 氏が

最初の作品の

ゴジラに対して

 

「 この映画は

  ゲテ物などと言われる映画に

  したくない。

  文明というものを

  問い直そうという作品だ。


引用元:ゴジラはヒバクシャ、悲運背負って
 - 宝田明さん語る決意
 - 核といのちを考える 核禁条約発効へ(第6回)
 : 朝日新聞デジタル( 2021年1月21日 11時00分 )

と発言されたそうですが

 

ゴジラシリーズが一時休止となる

本作においても

本多猪四郎 氏などを再び招聘

物語の内容からし

巡り巡ってもう一度原点へと返って

「 文明を問い直す 」という

製作者の意図が読み取れます。

 

“ 元へと環る ”

この辺りも

猿の惑星シリーズ 』的

気がします。

 

なおここで

ケロイド状に

焼けただれたような体表面や

ミュータント化というのは

僕自身が本作から

読み取ったメッセージであり

見る側で各々感じ方が

異なると思います。

 

言論統制を敷いている国で

政府を非難するような表現があれば

厳しい裁定を受けますが

暗喩的表現を用いて

諸々の社会批判や政治批判を

昇華させて表現することは

文学や芸術の手法としてあることで

それが

文学や芸術文化の発展をもたらした

一因でもあります。

 

ゴジラ対メカゴジラ 2部作 」では

暗喩的表現を用いて

メッセージを発信しているところが

作品の “ 深み ” であり

また

 “ セーフ ” なところであります。

 

仮に

被ばく汚染

 ミュータント怪物化

となる直球的な表現や

それと思わせるような描写が

あるとすれば

 

ウルトラセブン 12話

「 遊星より愛をこめて 」

映画「ノストラダムスの大予言

のように

封印作品 ”  になっていた

かもしれませんよね !!

 

振り返ってみると

高校生の時分に

国語現代文の授業で

安部公房赤い繭に苦戦したように

それ以下の年齢の子どもが

この作品から “ 深み ”

読み取ることは難しく

東宝チャンピオンまつり

のせるのは

ちょっと重すぎたのでは ??

と,改めて感じました。

 

 

〈 参考資料 〉

 ゴジラはヒバクシャ、悲運背負って
 - 宝田明さん語る決意
 - 核といのちを考える 核禁条約発効へ(第6回)
 : 朝日新聞デジタル
 ( 2021年1月21日 11時00分 )https://www.asahi.com/articles/ASP1N2QDTP1GPTIL02M.html

 

メカゴジラの逆襲

 

以上

読んでいただき

ありがとうございました。